分解能


 分解能(Resolution)とは、近接した二つのイオンピークを互いに分離する能力のことで、質量 m と m+Δm の2本のピークが10%谷間(10%Valley)で分離される時質量分解能Rは、R = m / Δmであらわせれます。(図1参照)
 分解能 R = 1,000 以下で測定したスペクトルを低分解能マススペクトル(Low resolution mass spectrum) 、分解能 R = 1,000 以上で測定したスペクトルを高分解能マススペクトル(High resolution mass spectrum:HRMS)といいます。
 図2はPolyethylen Glycol 1,000のm/z 987付近をR = 1,000、R = 3,000、R = 5,000で測定したプロファイル型スペクトル(Profile-Spectra)です。R = 1,000ではほぼベースラインでピーク分離されています。R = 3,000にすると完全にベースラインで分離され、R = 5,000ではさらにピーク幅が狭くなりより分離が良くなります。
 磁場型以外の場合は近接した二つのイオンピークがピーク高さの50%で分離する能力になります。この場合FWHM(Full width at half maximum)と呼び区別しています。この場合実際の分解能は磁場型(10%谷間)の半分です。
分解能の表し方 分解能の表し方
図1 分解能の表し方 10%谷による定義、半値幅による定義
分解能の違いによるピークの分離の変化
図2 分解能の違いによるピークの分離の変化
 
 分子   整数質量   精密質量 
CO 28 27.9949
N2 28 28.0062
C2H4 28 28.0312
m/z28の高分解能マススペクトル
図3 m/z=28の高分解能マススペクトル

 通常の低分解能測定の場合はユニットマスの分離が出来れば良いため、装置の最低の分解能 R=1,000 で測定しています(分解能を上げるにはスリット幅を絞るため感度が低下するので。)。元素組成を調べるミリマス測定や同位体あるいは夾雑物などの影響を除くための高分解能SIMを行う場合は分解能を R = 5,000 以上に設定します。設定分解能は目的の質量が分離する分解能以上に設定する必要があります。たとえば、整数でm/z =28 は CO、N2、C2H4 それぞれが混ざっています(図3)。では、N2とC2H4を分離するのはどのくらいの分解能が必要でしょうか?先程の式から、R = 28.0062 / ( 28.0312 - 28.0062 ) = 1,120、COとN2ではR = 27.9949 / ( 28.0062 - 27.9949 ) = 2,477 の分解能が必要になります。


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