MS/MSの概略


 MS/MS法は2台の直列に接続された質量分析計(タンデム質量分析計:Tandem mass spectrometer)で衝突誘起解離(Collision-induced dissociation:CID)を行い構造情報を持ったスペクトルを得る方法です。CIDとはPrecursor ionをターゲットガス(この場合はXe)に衝突させることにより、衝突エネルギーを利用しイオンの解離を起こさせることです。
 磁場型四重極型ハイブリッド質量分析計の場合ローエネルギーコリジョンタイプ(数eV〜数十eV)のCIDによりMS/MS測定を行います。この場合Precursor ionの運動エネルギーだけでは解離を起こさせるには不十分なため、四重極型衝突室に高周波交流(RF)のみをかけ衝突室内でPrecursor ion とターゲットガスを何度も衝突させ解離を起こさせます。
MS/MSの概略図
MS/MSの概略図
主なスキャンの方法は
  1. Product ion scan
    CIDによりPrecursor ionから生成したProduct ionを検出する方法。
  2. Precursor ion scan
    CIDにより生成したProduct ionから元になるPrecursor ionを検出する方法。
  3. Constant neutral loss scan
    特定の中性フラグメントイオンを生成させるPrecursor ionを検出する方法。
があります。
 また、通常の質量分析計でもイオン源と分析部の間に衝突室(Collision cell)を置き磁場と電場を連動させてスキャンさせる(Linkd scan)事でも同様なスペクトルを得ることはできます。ただこの場合、Precursor ionの分解能が悪いので、選択したイオンの周辺のイオン(M+の他、[M+H]+、[M-H]+など)含んだスペクトルとなり注意が必要です。さらに、逆配置型の質量分析計は磁場と電場の間(第二自由空間)に衝突室を置くことによりMIKES(Mass analyzed ion kinetic energy spectrum)測定を行う事ができます。この場合はPrecursor ionの分解能の分解能は高いですが、Product ionの分解能は悪くなります。
Linkd scanの概略図
Linkd scanの概略図

 測定例(MS/MSスペクトル)


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